
さて『リング』の話だけど、どんなところから考えはじめたの?
まず映画との距離の取り方がわからなかった。
距離の取り方って、もう少し具体的に言うと?
自分のなかに手がかりがあるかないか、かな。なかった?怖いの嫌いだもん。
えー!! そうなの!?
そうだよ〜。特に日本の怖いのって怖いじゃん(笑)
怖いね〜。あれ、なんでだろうね?
やっぱり怪談がある国だからね。
ハッキリは分けられないけど、怖い映画って2種類あるような気が。。。
どんな?
1つはビックリするって言うコワさ。『ジェイソン』なんて、そっち系だよね。
いきなり出てきて脅かすみたいな(笑)。
今度はこっちから出てきましたみたいな(笑)。
まだ生きてるぜみたいなwww
もう一つは、怖い状況は出来上がっていて、その先は観客が想像して、勝手に怖さを増幅させてしまうもの。人生経験が豊富な人ほど怖がるというか。怪談は聞いたり見たりした後の方が怖いじゃん。
心に残るよね。
べったりくっつくね。
ぬらぬらと(笑)
『リング』はその両方があったと思うけど。
そうだね、『リング』は現代の怪談だけど、テレビから這い出て来て「ギャー!」的ビックリも入っているね。
ホントに怪談嫌い?
嫌い嫌い、怖いの嫌いって言ってるじゃん(笑)
そんななかで『リング』はどう消化したの?
怪談はやめようっておもったんだよ。
怖いから?
そう、怖いから(笑)最初はうまく受け入れられなかったんだ。怪談は自分のなかに手がかりがないのよ。だから距離の取り方がわからなかったんだ。日本映画で、怖い映画で、でも怪談にはしたくない。いったいどこへ向かったらいいかわからなかった、というかんじかなぁ。
あー、なるほど、そういうことか。
じゃあ、怪談じゃないけど怖いってなんだ、ということになったわけ。
ほうほう。
でも、わからないんだよ。
あ、やっぱりわからなかったんだ(笑)ぴかーっと、答えが降りて来たのかとおもった。
ぴかーは無理でしょう(笑)
そうか、で、どうしたの?
結局は台本に忠実にやってみようって。
なるほど。原点回帰。
タイトルは『リング』でしょ。
そうだね。
だからリングをキービジュアルにして、ハハハでもそれじゃあ具体性にかけるでしょ。でも『リング』はビデオテープがキーだから、ビデオテープ → ビデオカメラ→カメラレンズ → リング!という連想。ほうほう。いま思うとそれだけなんだけど(笑)
いや〜、だけど、ちゃんと怖くなってるよ。
怪談にしちゃうと、これは怖いよ〜!って、がんばる感じになるじゃん。それはやめようって。
そういわれて気がついたけど、すごーく静かな感じがあるよね。静的だと思う。

静的なものを前にすると、こちらの心が激しく動くからね。この考え方は『リング』後の作品にも当てはまるね。
だとおもう。


『リング』は角川映画だったね。
うん、あの映画の成功のポイントは角川映画さんのプロモーションが斬新だったからなんだよ。
例えば?
あの頃はいまみたいにホラー映画っていうのが、いまのような楽しまれ方をしていなかったし、ホラーっていう言葉も一般的じゃなかったから、ポピュラリティは低かったと思う。
ぼくはいまだにコワイのダメ。
で、斬新だったというのは角川映画のあるエライ人が、いままでとは違う人たちを集めて試写会を行ったわけ。
どんな?
女子高生たちを呼んだの。
ほー・・・
今じゃあ、珍しくないけど、当時はびっくりした。女子高生はメインのお客さんじゃなかったからね。もうさ、映画が終わったらみんな泣いてるし・・・
怖くて?
そう怖くて、それから会場をでたら電話しまくるわけ
怖かったよー、って?
そうそう、もう黙ってられないほど怖いって、なんていうか誰かに話さないと怖さがしみついちゃうみたいな感じで。一斉に電話するんだよね。
すごい宣伝効果!
そうなの! それで一気に『リング』の噂が広まったといってもいいくらいだったと思うよ。やらせじゃないから、広まるスピードも早いよね。そういうことが手伝ってくれたのは大きいね。口コミを実感できたのはその時からかな。
でもやっぱりあのポスターは怖いよ。

映画が本当に怖いから、みんなの心のなかで怖さが増幅するんじゃない?
あんちゃんが言うように、無理して怖がらせようとしてない。やっぱり静的なところはジェイソンとは違う。

それはそうだと思う。
考えてみると、あの頃からだんだん日本映画が元気になってきたような気がする。そうかもね。そうするとお客さんへのアピールもまたちょっと違ってくるじゃない。たとえば、タイトルの付け方とかさ。
副題が付いてくるようになったね。
そう、タイトルの考え方はオモシロそうだ。
大変だけど(笑)
そう思う(笑)
つづきます、おやすみなさい、悪い子たち。
