石鹸はセンスの夢を見るか?

「石鹸はセンスが大事」みたいなことを近所のご婦人から聞いた。石鹸? 石鹸でぼくが思い出すのは「♪ 牛乳石鹸 良い石鹸」くらいで、それは小学校の渡り廊下の手洗い場に、赤いネットに何個か重なって<ふぞろいのミカン>のようにぶら下がっていた。そういえば、コピーライターの大先輩は言っていた。石鹸を発明した時のコピーは<汚れが落ちる>で世の中が驚いた。やがて他社に研究され、類似品が登場する。すると今度は、油汚れも落ちるようにした。世の中はまたもやビックリ。でもまたすぐに類似品が生まれる。その後も石鹸は匂いをまとい、肌を気遣い、液体になり、泡にまでなった。でももう世の中は驚かない。「もはやコピーも<こっちの水は甘いぞ>だけでは振り向いてもらえなくなりました」と。で、ご婦人によると、今や石鹸は、その佇まいのセンスで選ばれる時代というわけです。そんなセンスの塊のような石鹸はどこで手に入るのかと尋ねると「じぶんでつくるのよ」ということでした。うん、なるほどね。ほしいものの究極は、自分でこさえるという時代になったんですね。なんか、わかるなぁ。一人ひとりに、一つひとつの石鹸か。ぼくも作ってみようかなと思ったけど、まずは石鹸でセンスを洗わないとね(ちゃんちゃん)。
あしたも、ぜんぶ、生きようね。おやすみなさい、悪いコたち

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