師匠、映画のこと、聞かせてよ
師匠は会社でのあだ名です。ぼくは師匠の会社の人間ではないので、あんちゃんと呼びます。「安藤さん」と呼ぶ人もたくさんいます。彼の名前が安藤だから当たりまえです。鈴木さんではありません。「あんちゃん」。仕事仲間というよりは、僕は勝手にともだちとおもってます(同い年だしね)。職業は広告のアートディレクター。とおもっていたら、実は映画の宣伝もたくさんやっています。ぼくも何度か一緒に仕事をさせてもらいました。そのときのあんちゃんはアートディレクターを超えて、やっぱり師匠に近かったです。マスターのヨーダですね。なんというか全体を心眼で見渡している人という印象が強かったです。アートという目も持っているけど、もっと手前の、その映画の魂みたいなものをすいっと取り出してしまうようなクリエイティブをしてしまう人です。でもそれは手品じゃないんだ。いつもそれを端で見ていて感心していた僕は、それはどういう目でみているのかをどうしても聞きたくなったというわけで、映画の宣伝のはじまりから完成させるまでの考え方を聞いてみました。
↓ (この人があんちゃんです)

いきなりだけど、映画の宣伝ってどうやって考えるの?
えー! どうって・・・まあ、最初からだよね。
最初っていうのはどのヘンからのこと?
ぼくは映画会社の人間じゃないから最初は台本を読むことからです。
まずは台本があって、プロデューサーがいて、監督がいるっていう状態から入るわけ?
そうだね。
ある程度熱しているチームに入っていくかんじ?
でも、そういう意味では第三者だから、わりと冷静。
ふーん、でもさ、そういう環境中で、自分と作品との距離というのはとりにくくないの?
そういうチームに入っていくことの心配はないけど、作品と自分との関係を見つけるのが大変な時はあるよ。
ラブストリーとか(笑)
ホラーとかね(笑)
あー、そうだよねー、そうだそうだ、あの名作、『リング』の時は大変だった?
アートワークじゃなくて、あそこへ考えを持っていくまでがね・・・
その話は、ゆっくり聞きたいんだ。だからまた今度にしよう。
いいよ(笑)
じゃあ、宣伝を作っていくときにあんちゃんがおもっている方向と実行委員会がイコールにならない場面もある?あるね。方向を変えましょうとは言いにくくない?
映画っていろんな要素があるから、みんなそれぞれに少しずつ想いが違ったりもするんだよね。
うんうん。
だけどさ、これは一概には言えないんだけど、宣伝と映画の本質とは違う場合もあるんだ。
広告でもそれはあるよね。
映画のどこを引っ張り上げて宣伝にしていくのかは、本質じゃないところで話をしたほうが、お客さんを呼びやすい場合もでてくるわでさ。
映画は娯楽だものね。
そう。最終的には楽しんで帰ってもらいたいから、まずは見てもらうにはどうするかを考えると、映画の本質じゃない部分からのアプローチも有効なときもあるんだな。
でも、それは、映画のどこかにある要素なんだよね。
もちろん。日本映画はいろんな意味でマーケティングがしっかりしているから、宣伝を前提にした話し合いっていうのが成立するしね。映画会社の宣伝部の人たちが有能なんです。
じゃあ、船の進む方向は決まっているけど、そこからどんな旗を出してアピールするかはいろいろとあるってわけだな。
そうだね。今度はリングの話を聞きたいね。
あれは恐いね。
あー、やっぱり(笑)
やっぱり(笑)
つづきます、
おやすみなさい、悪い子たち。
