
今日も午前6時をまわると、すべての力を奪っていく熱風と湿気が急速に充満し始める。バジル畑の真ん中、藁の布団で猫がねむっている。ゆっくりと空気が動く。遠くで蝉が鳴きはじめる。コロコロと雨戸が開く音がする。猫は四肢をゆるやかに曲げた格好でバジルの葉陰で横になっている。朝の食器が重なる鈍く高い音がする。がらんとした住宅街にラジオ体操に出かけていく子どもたちの声が響く。その子どもたちをうらやましそうに犬が眺めている。やがて空が白くなりはじめる。まもなく僕たちを圧倒的な暑さが支配する。そしてバジルの葉が畑に影を落とすようになるころ、猫の姿はなくなっている。藁の色がまあるく濃くなっている。
