何もないところに置いてある言葉。とても姿がいい。真っ白な空間に置かれた言葉は、宇宙の中心みたいに見えるだろう。絵を伴わない言葉は、絵との間を往復しない分、動きが自由になる。日常の外に飛んで、言葉の内側に深く潜り込む。僕は、絵がないと言葉を見つけられない。僕が、何もないところと同化してしまうからかもしれない。動かず、考えず、眠りもせず。怠け者なのか。死に体なのか。浮かんでいる目に見えない胞子を捕まえるようにして言葉を繋げればいいのだけれど。まてよ。何もないところに少しずつ苔のように言葉が姿をあらわすというイメージは悪くない。内側から突き動かされる衝動から生まれる言葉とは違う。苔のように空気から生まれる言葉。深緑の言葉。それは美しくなれるかもしれない。胞子を捕まえるように。胞子を捕まえるように。何もないところに言葉を置いてみよう。
あしたも、ぜんぶ、生きようね。おやすみなさい、わるいコたち。
