犬と鬼

午後5時を知らせる世田谷区のサイレンが鳴りはじめると、その小型犬は負けじと遠吠えをはじめる。街中にこだましそうなほどの声は、悲しそうではあり、どこか健気なかんじもする。サイレンに驚いて遠吠えした犬を、その昔、飼い主が面白がってほめたのかもしれない。それいらい、犬はほめられたくて遠吠えをくり返す。もちろん勝手な想像だけれど、もしもそうだとしたら犬は哀しい。世田谷の砧公園は、犬問題で、警察が出動するというちょっと殺伐とした雰囲気になっている。犬は悪くない。どんな犬も、犬は悪くない。無自覚な飼い主の行動が犬を厄介者にしている。かわいいという感情だけでは犬は飼えない。何かを犠牲にしなければ犬は飼えない。ホント、やれやれだよ。人間社会へ連れてこられた犬は、嫌でも、死ぬまで人間を頼りにしなくちゃならないんだからさ。もっと考えようよ。

あしたも、ぜんぶ、生きようね。おやすみなさい、悪いコたち。

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