静かにしゃべらないと、涙がこぼれちゃうぜ。

まずはマーラーの交響曲5番アダージェットを選んだ。「ヴェニスに死す」の冒頭は、アダージェットが流れるなか、闇の中から船が姿を現す。あれはあちらの世界からのお迎えの船だと思っていた。キミが逝ってしまったとき、そのことを思い出してアダージェットにしたんだ。その次は、昼寝のときによくかけていたベートーベンのピアノソナタにしたよ、キミはとくに30~33番が好きだったな。カザルスは「無伴奏チェロ組曲」ではなくて「鳥の歌」にした。そっちのほうがいいだろ、なんとなく。キミの寝顔はあいかわらずきれいなだったから、歌声の粒子でできた空気の毛布でキミを包み込みたくなった。だから夜はグレゴリオ聖歌をエンドレスで流したよ。で、いまはどのへんにいるんだい?少し行くと虹の橋があるらしいから、振り返らずに渡るんだよ。こちらはキミからもらった愛で溢れているから心配ない。アッシュ、17年と1ヶ月と1日をありがとう。とてもさみしくなるよ。

あしたも、ぜんぶ、生きようね。おやすみなさい、悪いコたち。

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